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  • コラム

2025.05.26

IT人材採用・育成は“直感”から“可視化”へ——AIが変える選考現場のリアル

「職務経歴書は立派なんだけど、実際のスキルがよくわからない」
「現場と人事の評価が食い違う」
「面接で話してみないと見極められない」
——最近、IT人材を採用する企業から、こんな声を耳にすることが増えています。
特に中途採用では、実務経験の量と質が応募書類から読み取りづらく、選考に大きな不確実性がつきまとう。結果として、「採ってみたら思ったよりできなかった」「採らなかった人のほうが良かったかもしれない」といった“後悔の選考”が起きてしまうのです。

なぜ「スキルが見えない」のか?

ITエンジニアのスキルは、業務経験・プロジェクト環境・使用技術など多岐にわたります。しかもそれらは、単純な年数や社名の羅列では測れない——だからこそ、選考の属人性が高まりやすくなります。
さらに拍車をかけているのが、「評価の基準のばらつき」です。たとえば現場サイドは「即戦力」を重視しがちで、人事は「伸びしろ」や「カルチャーフィット」を評価する。両者が同じ候補者を見ても、全く異なる判断になるケースは少なくありません。
また、近年の技術トレンドの変化スピードも無視できません。新たなプラットフォームや開発環境、フレームワークの登場で、“過去の経験”だけでは通用しないことも増えています。こうした環境では、職務経歴書の読み取りやスキルの翻訳に、高い解釈力と現場知見が求められるのです。

変わりはじめた「選考プロセスの前提」

こうした課題に対し、最近の採用現場では「定性的な印象から、定量的な可視化」へと舵を切る動きが出ています。
たとえばある企業では、ITスキルの標準指標を活用し、職務経歴書の情報をもとに候補者のスキルをレベルマッピング。過去の経験から今の市場価値までを、共通言語で「見える化」する仕組みを導入しました。これにより、現場と人事の評価ギャップが埋まり、選考基準がブレにくくなったといいます。
このような取り組みでは、テンプレート化された「スキルマップ」が鍵を握ります。具体的には、各技術領域において、レベル1から9までのスキル定義が用意されており、それに応じて市場価値(たとえば想定年収レンジ)も連動して見える化されている。さらに、IPAが定めるITスキル標準とも接続しており、特定の職種において「本来求められる知識・経験」が明確になります。
こうした仕組みを背景に、現場と人事が同じ地図を持って候補者を見ることができるようになったのです。

採用だけではなく「育成」にも広がる“見える化”の力

このスキルマップの活用は、採用の場面だけにとどまりません。入社後の育成や、既存社員のキャリア支援にもそのまま応用できるのです。
ある企業では、1on1面談やキャリア設計の場で、この「市場価値テンプレート」をもとにした自己評価とフィードバックを実施。社員自身が自分の強みや伸ばすべきスキルを可視化できることで、学習や挑戦へのモチベーションが高まりました。
特に若手社員にとっては、「次に目指すレベル」と「そのために学ぶべきこと」が明確になるため、漠然とした不安から一歩踏み出す指針になります。管理職側も、主観に頼らず育成方針を立てられるため、部門全体の底上げが期待できます。

経験に依存しない「判断と育成」の土台づくり

こうした動きから見えてくるのは、「経験や感覚に頼る属人的な判断」から、「共通言語による再現性ある判断・育成」へのシフトです。
もちろん、最終的な判断に人の目や対話が重要であることは変わりません。ただ、その前提として「誰が見ても同じ方向を向ける指標」があることは、組織としての納得感や公平性につながります。
本質は、“書類をさばく”ことでも、“ツールを使いこなす”ことでもありません。
私たちが時間と労力を注ぐべきなのは、「人を見る力」を組織にインストールすること。
そして、「採用や育成において本当に向き合うべき瞬間」に、エネルギーを集中できる環境を整えることです。
それが、これからの人材マネジメントの新しい常識になろうとしています。


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