- 事例紹介
2025.09.01
【導入ストーリー】ヘルプデスク改革の舞台裏――業務フロー再設計からAI活用まで

導入:変化の時代、求められる「ヘルプデスクの進化」
近年、ITシステムを支えるヘルプデスクの役割は大きく変化しています。
クラウド利用の拡大、テレワークの定着、複雑化するIT環境――ユーザーから寄せられる問い合わせは増え続け、対応現場では「属人化によるミス」「煩雑な作業」「工数の肥大化」といった課題に直面する企業が少なくありません。
「電話やメールでの依頼が飛び交い、誰が何を抱えているのか見えない」
「同じような定型作業に時間を取られ、本来やるべき改善に手が回らない」
そんな声は、業界全体でよく耳にする現場の悩みです。
プロジェクトの出発点:理想は“システム導入ありき”ではなく、“業務改革ありき”
今回ご相談いただいたのは、情報システム部門の管理担当者の方。
担当者の想いは明確でした。
「システムを入れること自体が目的ではなく、まず業務全体を見直し、“あるべき姿”を描きたい。その上で必要なら仕組みを構築したい」 現場の課題は、依頼受付のバラつき(メール/電話/フォーム)、対応履歴の管理の属人化、そして確認作業の増加による工数とミスの増大でした。つまり「部分最適の積み重ね」で全体が見えなくなっていたのです。
私たちの提案と伴走:業務の解体から再設計、そして自動化へ
プロジェクトの第一歩は、徹底した現場ヒアリングでした。部署ごとに異なる“当たり前”を洗い出し、ボトルネックをあぶり出す。さらにワークショップ形式で各部門の意見を集約し、理想の業務フローを描き直しました。
そのうえでまず取り組んだことが、管理方法とフローの見直し。
受付をフォームに統一し、入力ミスや伝達漏れを防止。さらにチケット管理ツールを導入し、問い合わせチケットの自動登録と受付完了連絡の自動化を実現。その結果、受付にかかる工数の削減とタスクの進捗を管理者が可視化できるようにしました。
次に踏み込んだのが、RPAやAIの活用です。
・RPA自動化:
アカウント登録や端末棚卸といった定常業務を自動化し、月間22時間分の工数を削減。
・AI Chat Bot改修:
問い合わせ対応の約20%を自動化。RAG(AIに知識を与える技術)を再構築し、ユーザーが欲しい答えに素早くたどり着けるように改善。
・AI Call(自動音声応答):
電話問い合わせの一次対応をPoCで検証。IVRによる定型応答の自動化で、属人化を抑えつつ顧客満足度向上を狙いました。
もちろん順風満帆ではありません。
自動化のルール設計では「例外ケースの洗い出し」に苦労しましたし、AI Botの応答精度を高めるには、想定外の質問パターンを拾い続ける地道な調整が必要でした。
しかし、この「裏側の努力」こそ、ユーザーが違和感なくツールを使えるための要でした。

成果と変化:時間短縮以上の“文化の変化”
数値上の効果は明確です。
- ・チケット登録工数:5分 → 0分
- ・タスク管理工数:10分 → 3分
- ・合計で月間約85時間の削減を実現
さらにRPAやAI導入による自動化で、追加で月間30時間近い削減も達成しました。
しかし担当者が最も強調したのは「効率化」そのものではありません。
「問い合わせが整理され、誰が何をしているか全体が見えるようになった。属人化から解放され、チームとして協力しやすくなった」
つまり、“考え方と働き方の文化”が変わったのです。
示唆・まとめ:業務改革は“仕組み”と“文化”の両輪で動く
今回の事例から学べるのは、システム導入はゴールではなく、あくまで業務改革の手段にすぎないということ。
業務フローを解体し再設計する――その過程にこそ、AIやRPAが生きる場所があります。
あなたの組織でも、日々の“当たり前の手作業”に隠れたボトルネックがあるかもしれません。
もし「現場の声を拾い、あるべき姿から描き直す」改革を始めたら、どんな未来が見えるでしょうか。
「まずは話だけでも聞いてみたい」――そんな方へ
今回ご紹介したのは、ヘルプデスク改革の一例にすぎません。
私たちは、業務設計から技術導入、そして文化変革まで一貫して伴走しています。
当社では、無料の個別相談を随時受け付けています。
現場の悩みや課題をお聞きし、貴社に最適な“体制づくり”の第一歩をご提案いたします。